誰もが安心して手にとれる和菓子を作り、世界中の人に食べてもらいたい。
そんな思いから作られた「本気のどらやき」は、小麦粉、白砂糖、卵、乳などの動物性食品不使用なだけでなく、しっとりとした生地と上品な甘さがたまらない絶品の和菓子。身体に優しく、しかもおいしいどらやきを考案した株式会社Ennyの山本援さんに、開発秘話や和菓子に対する熱意をうかがいました。
日本の和菓子を海外へ。
誰もが食べられる和菓子作りへの挑戦
―まずはこの小麦、卵、乳不使用の「本気のどらやき」を作ろうと思ったきっかけから教えてください。
まず僕たちは和菓子を世界中の人たちに食べてほしいという思いを掲げていて、その中で世界の人に向けるなら宗教やアレルギー、趣味嗜好の問題に関わらずワンテーブルで皆さんが食べられるものを作りたい。そこから動物性不使用、小麦不使用のどらやきを開発しようと思いました。
―もともと和菓子を作ろうと思っていたのですか?
この「本気のどらやき」はうちのプロダクトとしては2つ目で、最初は子供向けの「さわってつくってたべる絵本」というものを作りました。絵本には和菓子の練りきりを作るシーンが出てくるんですけど、絵本を読みながら実際にその練りきりを付属のキットで作ることができるという商品です。もともとうちはデジタルのこと、ウェブサービスやホームページ、動画を制作することをしているのですが、僕がデジタルっ子だったわけではなく、偶然そういう業界に携わることになったことがきっかけでデジタルまわりの仕事をしていたこともあり、その中で、もっと手ざわり感があることをやりたいなと思うようになって。
その中で、もっと手ざわり感があることをやりたいなと思うようになって。それを今後やっていくと考えた時に、やっぱり国内だけじゃなくて海外にも目を向けたい。インバウンドで日本に来ている方に対してだったり、アウトバウンドで海外に届けられるようなものじゃないとダメだよな、だったら日本が海外に対して強いものは何だろうと考えたんです。例えばアニメとか漫画、工業製品とかいろいろあると思うんですけど、その中で自分が一番興味があるのは「食」。その「食」で作業していた時に、三重県で創業300年以上の老舗和菓子屋・大徳屋長久の16代当主、竹口久嗣さんとお会いする機会があったんです。
和菓子業界のお話などを伺っていると、子供や若い世代が和菓子を食べなくなってきている。また、地方から発信していくにはどうしたらいいかという点で僕らが力になれる部分があるのではないか、と。世界でも和菓子はまだまだ認知度が低いのでやりがいがあるなと感じたので、和菓子を選びました。
―その第2弾となったのがこの「本気のどらやき」なのですね。老舗の和菓子屋さんである大徳屋長久さんが、小麦も卵も乳も使わないというのはすごく大変だったのではないですか?
はい、すごく(笑)。1つ目のたべる絵本の時にありがたいことにメディアにも取り上げていただいて、長久さんとの信頼関係はできていたんですけど、やっぱりどらやきに小麦や卵などを使わないというのはだいぶ心理的なハードルがあったみたいで。仲良くはさせていただいているんですけど、改めて「なぜ今これをやるべきなのか」というのを10枚くらいのスライドに起こして説明をしました。そこからは前向きに取り組んでいただいて作ることができました。
今あるもので満足せず、常にブラッシュアップしていきたい
―かなり試作も繰り返されてきたのでしょうか。
そうですね。その時点での試作もありますし、今でもブラッシュアップしていけないかと常に考えています。僕も食品業界に携わるようになって思ったのが、これまでは作って完成したらそれで終わり。次に何かやるとしたら、あずきでブラッシュアップしていくというより他の味だったり、全然違うものを出すという感じで。そうではなく、今あるものを常にブラッシュアップしていけるようにと考えています。
―このどらやきが完成するまでにはどれくらいの時間がかかったのでしょう。
どらやきを作ること自体はそこまでかからなかったのですが、その前段階で僕らもグルテンフリーのお菓子を作っている方に相談をさせていただいたり、レシピのリサーチをしたり、そういった試行錯誤に時間を使った気がします。これならいけるんじゃないかというところから、和菓子屋さんが最後にそれをどらやきの機械で作るにはどうしたらいいか、そして味のブラッシュアップをしていただきました。
―味は最初から5種類(つぶあん、抹茶、ほうじ茶、いちご、さつまいも)だったのですか?
そうですね、最初からそうしました。アソートを試したかったというのがあって。うちでもあずきが一番人気なんですけど、どれが人気なのかというのが知りたかったですし、初めからパターン出ししているのを知ってもらえたらというのもありましたね。一番人気はやっぱりあずきで、あずきだけで売って欲しいというお声もいただくので今後そうしていこうと考えているところです。他にもイベントではホワイトデーでココナッツクリーム小豆を売って人気でしたし、バレンタインデーではチョコ餡も出しました。期間限定の味もこれから販売していければと思っています。
アソートの5つの味については、まずあずきは絶対(笑)。抹茶は海外の人にも人気ですし、日本ぽいお茶の風味としてほうじ茶。いちごとさつまいもに関しては、旬はあるにしても、もはやシーズンレスというか。年間を通してキャッチーに食べてもらえるものということで、いちごとさつまいもにしました。
こういったものを作るようになってから農家さんとお話しする機会も増えて、日本の果物はとても価値が高いと思っているので、今後和菓子と組み合わせてみたいなと思っています。和菓子にフルーツを丸ごと使うものは農家さんにとってもプラスになることがあるんじゃないかなと。これはどらやきに拘らずやっていきたいなと思っています。
喜びの声がモチベーション。
今以上に「たくさんの国の人に食べてもらえるものに」
―実際に「本気のどらやき」が発売されてから反響はいかがですか?
ありがたいことにオンラインやイベントでの販売で反響をいただいています。やはり洋菓子ではヴィーガン向けのものもあるのですが、和菓子ではまだ少ないみたいで「和菓子を食べたかった」というお声をいただいたりしました。アレルギーの面では「子供がドラえもんを見てどらやきを食べたいと言っていたけど食べさせてあげられなかった。でもこれのおかげで食べられるようになってすごく喜んでいます」とか。そういったお声をいただくのは僕らもすごく嬉しいですし、やりがいがあるところだなと思っています。
―ヴィーガンの方とアレルギーの方ではちょっと違うと思うのですが、反響的にはどちらの声が多いですか?
感覚的には同じくらいですかね。どういった理由で手にしてくださったか詳細は僕らもわかりませんが、クチコミを読ませていただくと課題感のある方がやはり多いですね。病気の食事制限で普通のどらやきを食べることができなかったとか、先ほど言ったようなお子さんがアレルギーで食べられなかったというお声が多いかなと思います。お母様が癌の食事制限があったけれど、調べたら食べられそうだということで注文して、迅速に届けてもらったおかげで母が最後に食べることができましたというお礼をいただいた時は泣きましたね。よかったなぁと。
―基本的にはオンラインショップとイベントでの販売ですか?
自社のオンラインサイトと、他には他社さんのオンラインストアなどで扱っていただいたり、イベントでの限定販売をしたりしています。やはり食品をいきなり5個セットというのはハードルが高いと思うので、まずはイベントで知っていただいて。それから自分へのご褒美や手土産などに使っていただけると嬉しいなと思います。
―最後に、これだけは伝えておきたいことやメッセージをお願いします。
たくさんの方に手に取ってもらえることを考えてやっているので、今後はいろんな国の方が食べてくれるようなものになるといいなと思っています。東京はこういった食べ物は多い方だと思いますが、地方に行くと多くはないですよね。また、海外に向けても知っていただきたいと思って動いているところですし、アスリートの方にももちろん食べていただきたいなと思っています。
インタビューをさせていただいて…
今回は「本気のどらやき」を考案し販売されている株式会社Ennyの山本援さんに、開発秘話や和菓子に対する熱意をお伺いしました。
小さい頃、アニメで人気キャラクターがよく手にしていたあの “どらやき” がアレルギーが治らずともして食べられる日が来るだなんて…。そしてその商品が世に出るまでのご苦労や想いを直接お伺いすることができ、改めてより感謝して頂こうと思うきっかけにもなりました。
制限により食べることを諦めていた方、この記事を読んで食べてみたくなった方、是非サイトをcheckしてみてくださいね。
※本記事のご紹介内容は、公開日時点の取り扱いラインナップです。最新情報については、メーカーの公式ホームページまたはお問い合わせにてご確認ください。
※アレルゲンおよびコンタミネーションについての詳しい情報についてはショップ公式窓口宛にお問合せください。