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ラテックスアレルギーと食物アレルギーのカンケイ

こんにちは、大人アレっ子で理学療法士としても活動しているayakoです。

前回、「秋の花粉と食物アレルギーのカンケイ」というテーマでお話をした中で【口腔アレルギー症候群(OAS)】【花粉食物アレルギー症候群(PFAS)】の2つの症状についてご紹介しました。(詳しくは前回の記事(リンク)をお読みくださいませ。)どちらも、”食べたり、触れたり“することで引き起こすアレルギーで、さまざまな食物・植物が原因になるとご説明しましたが、その中でも特に、生活の中で注意していただきたいアレルギー→【ラテックスアレルギー】があるんです。

今回は、“ラテックス”のアレルギーが原因で、食物アレルギーを引き起こす症状についてお話をします。

職業によって起こりやすいアレルギーがある?

職業性アレルギー疾患

アレルギーの中には【職業性アレルギー疾患】というものがあります。これは職業性喘息、職業性アレルギー性鼻炎、職業性皮膚疾患、職業性アナフィラキシーなど、職業環境が原因で生じるアレルギー疾患の事をいいます。有病率が高いのは、パン製造業、麺製造業、医療従事者、動物取扱業、食品加工業などが挙げられます。

パン職人の職業性小麦粉ぜん息や蕎麦職人の蕎麦アレルギーは、もしかしてみなさんもどこかで耳にした事があるかもしれませんね。職業性アレルギーの原因物質には[植物性たんぱく・動物性たんぱく・無機化学物質・有機化学物質]がありますが、身近な植物性たんぱくのものを抜粋して以下に挙げます。こんなに色んな職種でアレルギーを発症するリスクがあるのですね。

出典:内科学第10版 表10-31-1職業性アレルギーの原因となりうるおもな物質

私、まさかの「ラテックスアレルギー」でした

by Pixabay

今回は、この中でも医療従事者に多いラテックスアレルギーについて詳しくお話します。かくゆう私自身も、15年以上理学療法士として医療現場で働いてきたなかで、いつのまにか発症してしまったアレルギーです…。

この数年、感染病の予防目的で手袋をする機会が増えた職業は多いと思います。医療従事者は元々、感染予防で採血時や体液を扱う時、また食事や排泄介助をする際に、手袋の着用は必須でした。しかし、これまで使用していなかった場面でも感染予防で手袋を装着するようになり、むしろ、一日に何度も着脱を繰り返す日々で、現場で手袋を着用しない場面の方が少ない位でした。

医療従事者に多いラテックスアレルギー

そもそもラテックスアレルギーとは?

天然ゴム(natural rubber latex)製品に接触することによって起こる即時型アレルギー反応をラテックスアレルギーといいます。“ラテックス”という言葉を聞き慣れていない方も“天然ゴム”と聞くとイメージがしやすいかもしれませんね。※遅延型も存在しますが、そのほとんどが即時型。

症状は、かゆみ、水ぶくれ、じんましん、またこれに止まらず全身に広がりアナフィラキシーショックを起こす可能性さえあります。また、手袋に付着しているパウダーを吸入する事で、呼吸器症状(喘息発作)を引き起す場合もあるんです。


天然ゴムは、医療用手袋の他にも、日常生活では炊事や掃除の際に使用するゴム手袋、絆創膏、ゴム風船、輪ゴム、コンドームなど誰もが触れる機会がある日用品に含まれています。

日本では1999年「医薬品等安全性情報No.153」により医療用具の説明書や容器に、天然ゴムが使用されている事/アレルギーの症状が生じやすい事を表示することが義務づけられました。食べ物の特定原材料の表示義務は2001年からなので(初めは5品目)、少し前から始まっていたのですね。

米国や日本の報告ではラテックスアレルギーにより、転職を余儀なくされた方も多く、訴訟になったケースもあるそうです。ちなみに日本では、仕事が原因の場合「労災」の対象になるか否かが議論点のひとつとなりますが、労災として認定されるためには「会社側の安全配慮義務違反を立証」が必要となり、この判定が難しいポイントのようです…。

(参考:仕事が原因のアレルギーで労災は認定される?認定基準や具体例を紹介(2022/02/28更新 アトム法律事務所 発表記事 https://atomfirm.com/jiko/42037

ラテックスフルーツ症候群

by Pixabay

ラテックスアレルギーは触れる事で起こる即時型アレルギーですが、ラテックス=天然ゴムに触れなくても、ラテックスとの交差反応が原因でアレルギー反応が起こる場合があります。それが【ラテックス−フルーツ症候群(LFS)】です。

ラテックスアレルギー患者の30-50%に、この食物アレルギーを発症する方がいると言われています。反対にアボカドやバナナ、栗、キウイなど、ハイリスク群の果物にアレルギーのある患者の11%がラテックスアレルギ-症状を呈するという報告もあります。そして、シラカンバ花粉にも関連があるというのです。(数値参考:日本ゴム協会誌2015.88.9「ラテックスアレルギー病態生理と診断・治療」北林耐)

ラテックスに反応してしまうかどうかを検査する方法は?

通常のアレルギー検査同様、血液検査で「IgE抗体(あいじーいーこうたい)」を調べます。また、プリックテストやスクラッチテスト、実際にラテックスの手袋をして症状の有無を見る負荷テストもありますが、過敏な人ではリスクを伴うので必ず医療機関で行いましょう。

陽性になった場合、まずはラテックスの接触を避けてください。また、該当する果物・木の実なども避けるようにしてください。食物については、摂取して問題がなければハイリスク群以外は除去不要とのことです。最近では、医療用品・日用品ともに「ラッテクスフリー(パウダーフリー)」の製品が増えているので、必要な時はそちらを選びましょう。

by teate_ayako

こちらは私が数年キッチンで愛用している手袋。ラテックスや敏感肌用でアレルギーの原因となるタンパク質を含まないニトリルゴム製のグローブです。

どんな人がなりやすいの?

アレルギーになりやすい人は、もちろんラテックスの使用頻度、アレルゲンに触れる機会が多い人です。またアレルギー体質の人、例えばアトピー性皮膚炎や手湿疹のある患者はラテックスアレルギーを生じるリスクが高いと言われています。圧倒的に医療従事者に多いですが、その対象となる人、手術や処置を受ける側にもリスクが高い傾向があります。最近は“ラテックスフリー”の手袋を使用しており減少傾向ですが、生後まもなくから手術を繰り返している人は注意しておきましょう。また、医療機関にかかる際にはこのアレルギーがある事を必ず申告してくださいね。

こちらは、ラテックスアレルギー協会が作っている表示カードです。万が一、不慮の事故で救急に運ばれた際に備えて、このようなカードを持ち歩く事も良いかもしれません。食物アレルギーを持つお子さんなどは、アレルギー表示カードを身に付けている方もいらっしゃいますね。

私自身の後悔談

by Pixabay

私がこのアレルギーになったのは、ただ長く医療現場で働いていたからでは無いと思っています。数年前に長年アトピー治療で使用していたステロイドを完全に絶つ、脱ステロイド(通称:脱ステ)を始めました。

脱ステをすると、体の色んなところが腫れ、浸出液が出てきて…激しいかゆみ、チクチク針で刺されるような痛み、皮膚炎が今まで出てない部位にまで広がる…などという“リバウンド反応”が出ます。私の場合は全身が落ち着いても、特に手指、掌、甲の症状が続いていました。その部位の炎症が酷い時期に、手袋を常に使用する現場に移ったことが重症化したキッカケだと考えています(当時、病院や施設などにより対応は若干違いました)。手の症状が酷い指にはガーゼを巻き、最終的には綿手袋をした上に医療用手袋を着用し従事しておりました。

しかし、思い返してみれば、それ以前から首に掛けている聴診器が触れる部分が痒くなったり、物によってはスマホケースでかゆみが出たり…という事がありました。ただでさえ、かゆみや皮膚炎が日常的だったため、ラテックスによるものだと言う事をあまり自覚していませんでした。もっと早くにその要因に気付き、対処をしていれば良かった…というのが後悔のひとつ。仕事では着用義務がありますし、当時はそこまで考える余裕はありませんでした。しかし、後にこんなに食べられなくなるものがあるなんて…。(仕事で当たり前に使用している立場の人にとっては、意識が低いようにも思いますが(汗)。)

より身近になったであろうラテックス

by Pixabay

コロナ渦で、これまでゴム手袋を常用していなかった方も使用するようになった場面があると思います。また、患者さんとして触れられる機会も、従来より多くなったかもしれません。アレルギーの方は日常的に経験されていると思いますが、アレルゲンに触れた時の体調によっても、反応が違うことがあります。私は、愛用している天然ゴム製のヨガマットも長時間使用していると手がかゆくなる日がまれにあるなど、日常生活の中でも症状にはムラがあります…。天然ゴム製品に対してそんなに恐怖心を持つ必要はありませんが、このような症状や食物との関連がある事を知っておくだけでも、対処法や行動が変わるかもしれませんね。

また、アトピーなど皮膚に症状が出る方で、通常でも手指消毒や手洗いが多い環境にいる方の中には手荒れに悩む方も多いはず。いつもの~では無く、異常に気付いてしっかり対処することをおすすめします。症状が手指に限られている場合は、ステロイド薬や保湿剤を使用する事が推奨されています。

秋の味覚も楽しみたい今日この頃。でも一旦気をつけて!

by Pixabay

いかがでしたか?今回は【ラテックスアレルギー】についてご紹介しました。

ちなみにですが、秋の美味しいスイーツの代表格の一つ“栗”も実はラテックスアレルギーの方は気をつけていただきたい果物に含まれています…。私はモンブランなど栗のスイーツが好きだったのですが、今は残念ながら除去中。今年はさつまいもとカボチャを楽しむことにします!

何なら食べられるか?触れても大丈夫か?ついつい「できない」に意識が行きがちですが、「できること」を考えて過ごしていけば、うまく食物アレルギーと付き合っていきやすくなると思いますよ♪

参考文献:
消費者庁公式HP
https://www.caa.go.jp/
日本ラテックスアレルギー研究会公式HP
http://latex.kenkyuukai.jp/about/
アレルギーポータル公式HP
https://allergyportal.jp/
「9割の医者が知らない正しいアトピーの治し方」藤澤重樹
http://fujisawahifuka.com/
日本ゴム協会誌2015.88.9「ラテックスアレルギー病態生理と診断・治療」北林耐
https://www.srij.or.jp/newsite/magazines/mokuji/mokujilist/88/?page=10
日本ゴム協会誌2009.82.10「ラテックスアレルギー」中出伸一
https://www.srij.or.jp/newsite/magazines/mokuji/mokujilist/82/?page=12

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