こんにちは、Allecolle編集部です。今回のテーマはずばり「アレっ子パパ」です。
毎日、世の中にはアレルギーっ子(アレっ子)を持つ親御様からの情報発信が見られますが、よく考えるとママ発信のものが多く、パパのお声はあまり見られないように思います。
日頃、働きに出ているパパが子どもと共に過ごす時間は限られているからこそ、子どものアレルギー対応に関してパパとしての葛藤も、きっとあるはず。パパはどんなふうにアレっ子と向き合っているんだろう…どんな想いを持ちながら過ごしているんだろう…そんな疑問がふと浮かびました。
そこで今回は、編集部・Rの知人のアレパパさんにプチインタビュー。たくさんの食物アレルギーを持つお子様2人(高校生、中学生)をママさんと育ててきた日々を振り返りながら、ご経験されたヒヤリハットや、やがて巣立つ子供達に願うことなどをお伺いしました。
どうすればいいかわからないほどの重度食物アレっ子の兄弟
我が家の子供たちのアレルゲンは、豚肉以外は真奈さんの幼少期のものとほぼ一緒。弟の方はさらにお米もアレルゲンの対象になっていました。蕎麦も大豆も食べられなかったので、白身のお魚やお野菜などを食べさせていました。ちなみに、犬のアレルギーもあります。
子供たちのアレルギー体質は母乳の段階で判明していました。というのは、母乳を飲ませた時に顔がまっかっかになってしまったからです。ママも私もアレルギー体質ではなかったので、子供たちがアレルギー体質と知った時には理解が追いつかず、「どうすればいいかわからない」という状態でした。約20年前のことですので、当時はどう対処すればいいのかわからないことも多く、ママは1人で苦悩して塞ぎ込んでしまうことも多かったように記憶しています。
アレっ子と過ごすための情報収集について
私が転勤のある仕事に就いている事情もあり、子供たちが幼かったころは東京に住んでいました。そのおかげもあり、大きな大学病院にお世話になることができました。(現在は子供たちとママは地方に、私は単身赴任で関西圏に住んでおります。)
また病院に通っているママさんたちのコミュニティを見つけることができ、そこで情報を得ることができました。今でこそSNSなどであらゆるアレっ子の親御さんと情報を簡単にやり取りできるようになりましたが、当時はそういったコミュニティに参加することが大きな助けとなっていました。
アレパパが体験したヒヤリハット
◾️状態が変わっていればアレルゲンでも食べられる、というウワサを信じてしまい…
アレっ子兄がまだ1歳になる前の頃の話。昔は「食べていれば治る」とか「発酵していたり、火を通してあれば食べられる」といった、アレルゲンに対する間違ったウワサ話が出回っていたんです。当時は私も全然わかっておらず「ヨーグルトなら食べられるのでは?」と思い、与えてしまったんです。結果、アナフィラキシーを起こしてしまい、手がグローブのようにパンパンに膨れ上がり…救急車で搬送していただく事態になりました。
(ちなみに、負荷試験にチャレンジしてみるというご提案はかかりつけ医からいただいていたものの、試験に伴う入院期間などを考慮し、結果的にこんにちまで実施には至りませんでした。また、あるかかりつけ医からは「良いもの、ダメなもの。しっかり区別しなさい」というアドバイスがあったことも今でも印象深く残っております。)
◾️一生忘れられない…「手」経由のコンタミネーション
子供たちはうどん(小麦)は食べられましたので、家でうどんを茹でることがありました。ある日の食事時、自分は蕎麦を食べ、子供たちはうどんを食べようと準備をしていた時のことです。鍋を分けることまではしっかり対策できていたものの、蕎麦を触った手のままうどんの調理に入ってしまい、蕎麦アレルギーを発症→アナフィラキシーを起こしてしまったことがありました…。
また、ある日には、うどんもお蕎麦も出しているお店を利用した際、「+○○円で蕎麦に変更可能」という張り紙を見てヒヤリ。店員さんに「茹で汁が一緒かどうか」を確認したことで事故を未然に防ぐことができました。
以降は外食を控えるようになり、家での食事もさらに細心の注意を払うようになりました…。
◾️突然「美味しくなった」リニューアルをされる『食べられていたメニュー』
いろんなお店やメーカーを当たって、やっと食べられるものを見つけて食べている日常。ですが、時々「もっと美味しくなりました!」などの文句と共に、商品や店舗のメニューがリニューアルされている時は緊張が走ります。原材料が変わっていて、「食べられないもの」に変わっていることが多いからです。しかも、パッケージや食べ物の見た目が変わっていないことも多く、表示を見ても詳しく書かれていないこともしばしば。書いてあったとしても読み取りが難しく、事故を防ぐのが難しいと感じることもあります…。「表示がもっと全面的に出ていてくれたならヒヤリハットも減らせるのに」と思う日々です。
パパにもできること。アレっ子と生きてきてパパとしてよかったこと。
◾️できること
まず我が家では、できる限り病院には一緒に行くようにしていました。子供たちの生死に関わることですから…。また、ママが幼い子供たちの対応で辛くなってしまった時は、一緒にアイスクリームを食べてみるなどをして気晴らしができる機会を作るようにしたりもしていましたね。
今は単身赴任中ですが、離れて生活していてもできることとして、「子どもたちが食べられそうなものを見つける」ということが挙げられます。現在私は大阪に住んでいますが、大阪にはたくさんの食品があるので、選択肢も多く見つけられる機会も増えます。最近は、ヴィーガンヌードル商品の中から見つけることもありました。
◾️アレパパとして過ごしてきて良かったこと
子供たちが食べられるものを選んでいたら、体により良いものを厳選して食べるようになっていったことが結果的に良かったと思っています。おかげさまでメタボっぽかった体型や健康診断の数値が改善されて、健康体になりました。
最近の出来事:アレっ子弟の修学旅行
アレっ子弟は先日、3泊4日の修学旅行へ。小学生の頃から、給食ではなく持参のお弁当を食べていた子です。今回の修学旅行では各施設より対応食の提供が難しい状況だったことから、1週間、体を慣れさせてから送り出しました。帰宅後、食事に関しては結局どうしたかと聞いたら、本人曰く4日間ほぼゼリーで過ごしたとのことでした。
修学旅行には本人が「行きたい」と希望していました。アレルギーの心配はありつつも、「友達と一緒の場所にいられること」さらに「友達と同じものを食べられること」に嬉しさを感じるそうです。幸いアレっ子弟は、自分が意図しないうちに人が集まってくるような性格の持ち主。友人たちに恵まれていることも安心材料になっているのかもしれないです。
進学も間近。独り立ちが近いアレっ子兄へ
高校の卒業も近いアレっ子兄は進学先について検討している今日この頃。親元を離れての学生生活になる可能性もあり、親である私たちとしてはやはり心配が絶えません。もし、私たちの元を離れて生活することになったとしても、例えばアレルギーの対応をしていただける集合住居があればそこを利用してみたり、いつでも困った時に相談できる場所を持って乗り切ってくれたらと思います。「生きて帰ってきてほしい」というのが、父としての願いです。
いかがでしたか?
今回は、重度のマルチアレっ子の兄弟をお子様にもつパパさんにさまざまなエピソードや想いを伺った内容をお届けしました。
アレっ子と過ごす時間はママの方が多くなりがちなご家庭は多いかもしれませんが、パパだからこそできることもあれば、ママが感じている以上に子供たちのこと、そしてママ自身のことを大切にしてくれている瞬間だってあるはず。ママとして日々アレっ子たちの生活・命を守るために一生懸命で精一杯になっていて、パパのことについては失敗ばかりが目についたり、気遣ってくれていることを煙たく感じてしまったり、思うように気をつけてくれないことにモヤモヤとしてしまったりするかもしれません。そんな時こそひと呼吸おいて、パパと落ち着いて会話をして、時には頼り、時には大変な気持ちを打ち明けてサポートをお願いしてみて。
パパだって、アレっ子が健やかに成長してくれることを心から祈っています。そしてママと同じように子供たちのことを心配していますし、ママ自身のことも愛しているのです。パパもママも、アレっ子と一緒に成長できるかけがえのない子育て期間を過ごしていただけることをAllecolleも願っています。